ああ、小菅村でのんびり暮らそう

集落に移住して、古民家ホテルを運営する夫婦の話

「お前の顔なんか見たくない」といわれたので、放浪することにした平成最後の夏

今年で30歳になるのだが、人生で初めて家出をすることにした。

 

家出の定義は分からないが、とにかく実家にいても居場所がなく、このままでは精神が崩壊してしまうと思い、少しの間だけ放浪することにした。今は東京にいる。

 

そもそも、もうすぐ30歳にもなるというのになぜ仕事もせず実家に暮らしているのかというと、海外留学から帰ってきたばかりだからだ。

 

オーストラリアで2年間、留学を経験してみて「何て素晴らしい国なんだ。願わくばこの国に住みたい」と感激し、帰国後は本格的に永住権を目指すつもりでビザコンサルタントともやり取りをしていた。が、色々と考えた結果まずは日本で拠点をつくりたいと考えるようになった。そんな経緯からオーストラリアに戻る戻らないで頭を酷使し、気付いたらスムーズに動けていない自分がいた。

 

決断してもすぐに迷いが生じ、あれもやりたい、これもやりたいとなり、帰国してから身動きがとれていない私を見かねて、昨晩、父親から真剣に説教をされた。

 

「お前の生き方は本当にそれでいいのか?今楽しいと思うことだけを追いかけて、将来のことなんか何も考えていない!家も持っていないし子供もいない!苦労して我慢して安定した給料をもらうことが大切なんだ!お前の友達がいまのお前を見たら、みっともないと思うだろうな!いいか、うちの遺産はお前には何一つ渡さないからな!家だってそこら辺の奴に相続した方がまだマシだ!お金も1円も渡さないからな!遺書にだってそう書く!長男という自覚がないのか!お前の顔を見るのも嫌なんだよ!」

 

 

 


「お前の顔を見るのも嫌なんだよ」

これにはさすがにグサッときた。

 

 

 


ただし、大体おっしゃる通りだ。どうやったら食べていけるのか、その見通しが欲しいのは親としては当然のこと。

それなのに私ときたら、将来のことなんて考えたってどうせ分からないと思ってるし、今楽しいと感じることに全力を投じたいと考えている。もちろん、やってみたいことはたくさんある。地域おこし協力隊も楽しそうだし、ニュージーランドワーホリも捨てがたいし、ヨガや瞑想の講師なんてのも魅力的だ。夢なら山ほどあるが「10年後にこうなっていたいから、これから5年はこう過ごして、それからは…」みたいなプランは苦手だ。せいぜい3年先までしか想像できない。これは軸がブレているからで、何とかしなければと思うものの、焦ってもビジョンは遠ざかる。

 

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それにしても、先日も似たようなこと(上記ブログ参照)を言われてかなり落ち込んだのだが、今回はさらに強烈だった。談笑しながら晩御飯を食べていたのに、突然スイッチが入ったように怒鳴りだした。せっかくのナポリタンが台無しである。お酒が入っていたせいもあるかもしれない。今にも飛びかかってきそうな勢いに、かなり圧倒されてしまった。

 

私の考える将来像について話そうとも思ったが、話を聞くつもりがない相手には届かない。否定する気構えの人に話しても、火に油を注ぐだけなのは分かりきっていた。落ち着いてる時に、しかるべき方法で伝えないと、伝わるものも伝わらない。

 

といっても、正直なところまだ具体的なプランはない。先に述べた通り、人生設計というものがほとんどできない。もう一度就職活動をして、サラリーマンになり、安定した生活を送るという選択肢だって当然ある。毎月決まったお金が入ってくる安心感は、何物にも代え難い。ただし、それは5年間のサラリーマン生活を経験して「少なくとも、今の自分には合わない」と思った。敢えて苦しいと分かっている道に進んで、ストレスを抱えながら生きていきたいとは思わない。もちろん、家族を養っていくためには仕方ないという想いもある。食べていくだけのお金を稼ぐ必要だってあるし、今はまだ言葉ばかりが先行して、行動に移せていないのも分かっている。でも、もう少しだけ挑戦してみたい。自分にしかできない何かがきっとあるし、もう少しで手が届きそうな気がする。

 

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9月から、憧れだったリトリート施設で働かせてもらえることになりそうだ。私たちが将来やりたい事業で、コンセプトが素晴らしく、帰国後すぐに連絡をした。実際に宿泊して、お志事体験もさせてもらって、ここで働きたいと思った。まずはここで地に足をつけて、自分たちのやりたいことをやって、お客様のためにもなるという素敵な循環を実現したい。父親の求める「名の通った会社のサラリーマン」ではないかもしれないが、それよりも、少数精鋭の気心知れたスタッフたちと「本来の自分に還れるような場所を提供したい」という共通の理念のもと、真剣かつ軽やかに働いてみたいと思った。

 

どこに価値を感じるかは人それぞれだ。世間様にどう思われているのかは分からないし、有名人でもないし、まだまだ社会の役にも立てていない。それでも、自分を必要としてくれる人がいる。この場所なら自分を満たし、誰かの心も満たせるかもしれない。

 

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父親から怒鳴られた時は、悔しいけど何も言い返せなかった。自分の無力さに絶望したし、30歳目前にしてこの有様はなんだろうと自分を責めようとした。人間なんて脆いものだ。

誰かに話しを聞いてほしいと思い、妻に電話で「今にも物を投げられそうで怖かったよ」と話すと、ころころと笑いながら「ドンキーコングみたいだね」と言って笑わせてくれた。続けて「お父さんだって本心ではないよ。お酒のせいでスイッチが入っちゃったんだよ。私たちは大丈夫。」と励ましてくれた。

この言葉にどれだけ救われたか。


きっと、同じような悩みを抱えている人もいるのではないだろうか。いまの生活に何か違和感がある。けれど、どうしたらいいのか分からない。


そんな人にこの文章が届くといいなと思う。同じような悩みを抱えている人はたくさんいるから。

 

みんな悩んで、分からなくなって、それでも必死に前に進もうとしている。だから自己啓発本が売れるんだろう。

 

誰だって最短距離を最速で進めればいいのだろうけど、変化の多いこの時代、未来をみるのは困難だ。それよりも、寄り道だと思うことが、振り返ってみた時にベストな選択肢だったという可能性に賭けたい。

 


まとめると、これから東京で一週間ほど放浪しますが、家出ビギナーなものでどなたか手を(宿を)差し伸べてくださる方がいたらとてもうれしいです…!!

 

無性に人が恋しい。皆さんがどんな考えで生活しているのか、色んな人の考えを聞きたい。有名人の書く本に載っている成功体験ではなく、身近な人の地に足のついた体験談を聞きたい。

この少年のまま育ってしまった、甘ちゃんの世界観を広げて欲しい。

 

一緒にこれからのことについて、おしゃべりでもしながら丁寧に考えてみませんか?